作品の感想を考察で裏付けるブログ

というのは名ばかりの、あまりにも煩雑なブログ

2000年代初頭の空気感が好きな男によるショコラの感想

ショコラをプレイしました。まだコンプしてないです。

戯画から出ているエロゲです。発売年は2004だったかな?

最近出たロイヤルスウィートコレクションに入ってたんでやりましたよ。

一番好きなヒロインは大村翠です。

気の強い幼馴染最強!!

一番気に入ったルートは香奈子で、一番気に入ったHシーンは二つありまして(一番とは?)香奈子と駅でしたやつと、翠と公園でしたやつですね。

いや別に青姦好きじゃないですよ?ただそこにいたるまでの葛藤やH中の心の揺れ動く様が素晴らしいなと思いましてね。

よくありがちなスキップしたくなるHシーンを書かないのが丸戸さんの良いところですから。

別に抜きたくてエロゲやってるわけじゃないですしね。皆さんそうだと思いますけど。

そうですよ。エロゲーマーは別にオナニーのためにやってるわけじゃないんですよ。

オナニーするだけならわざわざエロゲなんて買う必要ないんですよ。ネットで検索すりゃあいくらでもオカズが見つかる時代なんですから。

むしろ今の時代にエロゲ買う人間っていうのは信頼に足る人物だと思っていいと思いますよ。エロゲーマーだよっていう知り合いを見つけたら大事にすべきだと思います。

 

それはともかくいやあ、ショコラ面白いっすね。

興味ないヒロインに全くと言っていいほど興味湧かなくて二人ほど放置して次のゲーム始めちゃいましたけど。あまりにもキャラデザが気に入らなくて。

まあこれは丸戸さんの若かりし頃の作品なんでね。まだまだ粗削りですよ。

でもそこがいい。

洗練されてない良さってものが確かにここにはあるんですよ。

力強くて、芯の通った熱い思いが込められている。

技術はなくてもそういうものはしっかりと伝わりますからね。

そう、まるで童貞丸出しのセックスみたいに。

覚えてますかね、かずさ浮気ルートのHシーンを。

雪菜でうまくなった春希のセックスをかずさが嫌がって、昔みたいにへたくそにやられたいみたいな下り、ありましたよね?

ああいう感じです。無駄な技巧や装飾は無い方がいい場合もあるってことです。

 

それを踏まえたうえでこのゲームをお勧めしたいのは、2000年代初頭の空気感が好きな人です。

なんじゃその空気って?随分抽象的だなと思うでしょう?

大丈夫、出来る限り説明しますから。

まず一定以上に都会的です。

次にどっちかというと内省的で暗いです。

そして切羽詰まったような、それでいて開けているような感じです。

というのも新世紀突入してすぐですからね。未来は開けているんですよ。

でも、その頃はなかなかに不況だったわけであります。だから何か新しいものが始まったんだけども、希望的観測が持てない。そういう感じです。

わかりましたかね?私は書いててわからなくなってきました。

電子機器で言うとガラケー、メール、電話とかですかね。

まあこれは2010年くらいまでガンガンそうでしたけど。

けど2006と2004だと全然違うんですよ。空気が。ガラッと違う。

2004はまだまだ暗いんですよね。ああっ、2000年代始まっちゃったよどうしようみたいな感じがする。

反対に2006くらいなら慣れてきてなんかちょっとトーンが落ち着いてる。

ラノベ原作アニメで言うなら、シャナとゼロ使くらい違いますね。

ほら、これならわかるでしょう?

シャナの持つ不気味な空洞感とゼロ使の無邪気な明るさ。

そういう違いがたった二年の間に絶対的に横たわっていると僕は思うんですよ。

そしてショコラは間違いなく前者に近い。パルフェは中間。こんにゃくは後者。

かなり時代感が反映されていると僕は思っていますね。

2008くらいから2011くらいまでは大体同じ。とらドラ、あの花、シュタゲとかを思い出してください。

そして2012くらいからはもうほんとにストレスフリーな作品ばっかりが世に溢れているって感じですね。別に悪い意味じゃないです。いい作品はたくさんあります。

 

まあそんなこんなで2000年くらいの未来の見通しの利かなさと向き合いきれていない感じを味わいたいならショコラはおすすめです。

システムが本当に貧弱で周回プレイがアホほど面倒なんですけどそこはご愛嬌。

シナリオは文句ないです。熱くてエモい気持ちになります。

忘れていたあの頃の気持ちみたいなものが蘇ってきます。

主人公があんまり垢抜けてないのもいいですね。丸戸さんの作品の中でここまでスペックの低い主人公ってあんまいないんじゃないでしょうか?顔が見えてこないっていうかね。丸戸さんの主人公って結構よくも悪くも目立ち気味なところありますからね。

私はキャラの立った主人公大好きですけどね。

 

あと丸戸さんの作品でいいところは必ずしも社会的に成功しないことですよね。

結構お金に困りそうだなあっていう主人公がいるんですよね。

パルフェもショコラもこんにゃくも。

NG恋とWA2は高学歴なんで全然そんなことないですけど。

初期の作品は結構職に困りそうな雰囲気がビンビン。

ただ大事なのは金じゃないんだぞって思える。

普通の作品だったらそんなこと想像すらしないんですよ。

でも丸戸さんの作品はそういうことを考えたくなるし考えてしまう。

それは必ず社会との関わりを強く打ち出してくるから。

社会と地続きな舞台においての物語だから年収とか生活水準とかが気になる。

そういう意味で丸戸作品っていうのはアンチセカイ系だと言っていいんじゃないかと。

もしくは、ポストセカイ系。こっちの方が正しいのかな?

まず丸戸主人公は必ず家庭に問題を抱えるところから始まります。

それが原因で心を閉ざすんですけどしかし、絶対に社会とは関わる。

自分だけの世界に閉じこもったりしない。

起こることは全て現実的。あるのは行動と結果という因果と負うべき責任だけ。

常に丸戸さんの作品を貫いているのが社会と個人の絶えること無い綱引きだと思っています。

地に足をつけて、あくまで現実を描く。それが丸戸イズムですよ。

だからこそ感動するし、深く入り込んでいける。

 

まあいろいろ書きましたがとにかく、2000年代初頭のあの青臭くて未完成な雰囲気が私は好きですね。みなさんもやればわかるのでやってください。